未来の渋谷の運動会

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体験レポート★社会に出て必要となる要素が凝縮された3日間

執筆:國學院大學 健康体育学科 白水 加奈子

 

平成最後の夏、私は8月10日~12日の三日間、國學院大學渋谷キャンパスの体育館で開催された「未来の渋谷の運動会」にデベロップレイヤーとして参加しました。

そこでは、年齢も性別も職業も立場も異なる様々な方々が集い、未来の運動会について一から考え、共に競技を作っていき、実践するという初めての体験をしました。

今回の3日間の体験を振り返り、私が感じたことを以下に述べたいと思います。

 

  • 未来の運動会を考える

初日に会場の体育館に集合し、主催者より三日間の概要についての説明があったあと、まずこれまでの未来の運動会で実際に行われたいくつかの種目を試しに参加者全員でやってみる機会がありました。

未来の運動会については事前にウェブサイトにアップされている動画などで見たことはありましたが、実際に参加するのは初めての機会であったため、どのような種目を行うか漠然としたイメージしかなかったのですが、実際にデモの種目をやってみることにより、具体的なイメージを掴むことができました。

始めて種目を体験してみて、まず私が驚いたことは、今まで私たちが小学校などで行ってきた「普通の運動会」からは想像できないほど、どの種目も斬新で面白く、また、どの年齢の方がやっても楽しみながら運動ができるように工夫されているということです。

同時に、このような運動会が今後各地で開催されたら、運動が好き・楽しいという子供や大人が増えるのではないかと思い、今回は自分がその競技作りに携われるということにとてもワクワクしたことを覚えています。

そして、いよいよ今回の競技のアイディアを考える時間が来ました。

まずブレインストーミングをもとに各自で自由な発想から、運動会の種目について多くの意見を出し合いました。私も一生懸命どのような種目が楽しいかについて考え、アイディアを出したつもりですが、いざ考えてみるとなかなか難しく、他の方が出されたアイディアを見てみると、どれも私では到底思いつかないような面白い考えが盛り込まれており、とても勉強になりました。

その中には、今回の運動会の開催地である「渋谷」にちなんだアイディアも多数ありました。そしてそこから赤・青・黄・緑の四チームに分かれ、複数のアイディアの内容を詰める作業に移ります。

 

  • チーム内でのコミュニケーション

今回、私は緑チームの所属となりました。初めは、同じチームのほとんどの方が年上であったことや、自分の知らない分野の話についていくことができず、自ら同じチームの方々とうまくコミュニケーションを取ることができませんでした。

ですが、このままでは進まないと考え、出来る限り自分の意見を言おうと試みて発言し始めたところ、徐々に会話が生まれ周りの方とうまく協力して作業を進めることが出来るようになりました

これはこのイベントに参加して私自身が得られた成長のひとつではないかと思います。

私たちのチームでも、出された多くのアイディアを絞り込み、最終的に1つを極め出すことになりましたが、全員の考えを織り交ぜ1つのものを作り出すことができました。

今回、私たちのチームが作った種目は、「パチットモンスターズ」というものです。

内容については、空気で膨らませたバブルボールにハチ公に見立てた犬のぬいぐるみを入れ、竹枠の真ん中にそれをセットしおみこしのようにみんなで担ぎ競争するといった、渋谷で毎年行われている祭りをイメージした競技です。

これが完成するまでに何度も何度も試行錯誤を繰り返し、これじゃだめ、あれじゃダメ、こうしよう、ああしようとメンバー同士で議論を重ねました。

また、話し合うだけではなく、実際にいろんな方々と協力しデベロップレイしてみることにより、話し合いの段階では気づかなかった発見も多く見られました。その成果として、最終日には私たちのチームが考えた種目は氷川地区体育賞を獲得することができました。

近年、スマートフォンの普及などにより、集団よりも個が重視される時代となっていると言われます。

また、生活環境の変化から、子供たちの人間関係を形成する能力の低下も課題として挙げられています。

この未来の運動会は、ただ体を動かすだけではなく、幅広い年齢層の人と運動を通して楽しみながらコミュニケーションを取ることができるということから、今日課題となっているコミュニケーション能力を伸ばす役割も期待できると体験して感じました。

  • 渋谷の未来

「渋谷」といえば高層ビルが立ち並ぶ世界有数の大都市であり、年齢も性別も人種も特技も異なる様々な人が、一人一人違う思いを抱え、すれ違い、交差していく場所という印象が私にはありました。

ですが、今回の未来の運動会は、そんな普段あまり交わることが少ない人達と偶然巡り会い、運動を通じて関わり合うことにより、新たな出会いが生まれたそんな素敵な空間になっていました。

先ほども述べたように、運動会のイベントの序盤では、メンバーのほとんどが初めて会った人同士ということで、私のいた緑チームでも会話が少ないという光景も見られましたが、作業が進むにつれて仲間と協力しながら誰でも楽しく挑戦できる種目を一緒に行ったことで、ハイタッチをしたり、お互いを応援しあったり、最終的には団結し笑顔でいっぱいのチームになっていました。

おそらくこれは緑チームだけではなく、他のチームもそうだったと思います。こうなった一因として、私たちデベロップレーヤーがたくさん考え、工夫して作り出した競技の成果でもあるのかなぁと感じ、その一員として誇らしく思えました。

近年、地方の過疎化が問題となる一方で、都市では住民の地域に対する愛着の希薄さが指摘されています。

今回の未来の運動会では、「渋谷」をテーマとした種目が数多く考案されたことや、渋谷区内在住や学校・勤務先が渋谷といった渋谷区に何等かの関わりのある人も多く参加されていたことから、未来の運動会を中心に地域の人々を結びつける力を感じました。

今回の未来の運動会で出来た新たな結びつきが、これからの渋谷の未来を形作るのではないかと感じました。

  • 三日間の経験を通して

私はこれまで今回のような幅広い年齢層の集団の中で同じ目標に向かって活動をするといった経験をしたことがありませんでした

また、色々な価値観や信念をもっている昨日顔を合わせたばかりの方々と一つのものを作り上げるという経験も初めてでした。

イベントが始まった当初は戸惑うこともありましたが、終わって今こうやって今回の活動を振り返ってみると、社会に出て必要となる要素が凝縮された3日間であったように思われます。

そして何より、運動会を作りだすという過程において沢山の知らないことに出会えたことで私自身の視野を広げることができたので、ハッカソンに参加できでよかったと思います。

これは周りから見ているだけでは分からない、実際にやった人にだけ感じられる気持ちだと思います。

是非機会があればまた運動会に参加したいと思います。

 

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